オークションシンポジウム

「学際領域におけるオークション研究を進めるために」

シンポジウム開催の主旨

  商取引に対する情報通信技術の発達や公的分野への市場原理導入などの潮流を受け、近年、多くの財取引にオークションが導入されています。これにともない、経済学・計算機科学・経営学・実験経済学・ゲーム理論などの様々な学問領域で、オークション研究が盛んになっています。しかしながら、これらの研究者は属する学問領域に互いに分断され、同じ問題を扱っていながら、情報交換や交流の機会が少ないと言えます。
  そこで、オークション研究に携わる多彩な分野の研究者の方々に講演して頂き、学問領域を横断する学際研究の可能性を探る「オークションシンポジウム」を開催します。本シンポジウムが、他分野の研究者と情報を交換し、現実のオークションの制度設計に研究者がどのように関わるかを考察するきっかけになれば幸いです。

写真で見る当日の様子

プログラム

10:00−10:10 渡辺隆裕(東京都立大学経済学部)【ゲーム理論】
シンポジウムの開催にあたって配布資料(pdf) スライド(ppt)

10:10−11:00 國領二郎氏(慶應義塾大学 環境情報学部)【経営情報システム】
ネットワーク化による情報非対称構造の変化について 配布資料・スライド(pdf)

11:10-12:00 菊池浩明氏(東海大学電子情報学部情報メディア学科)【ネットワークセキュリティ,暗号理論】
オークション研究の現在と可能性: 暗号プロトコルの観点から 配布資料(pdf)

(昼食・休憩 1時間30分)

13:30-14:20 西村直子氏(信州大学経済学部)【不確実性下の効用理論,実験経済学】
Spite and Counter-spite in Auctions 配布資料(pdf)

14:30-15:20 横尾真氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)【人工知能,マルチエージェント】
計算機科学分野におけるオークション研究 配布資料(pdf)

(20分休憩)

15:40-16:30 池田信夫氏(経済産業研究所)【情報経済論】
電波の買い上げ:周波数開放のメカニズム

16:40-17:30 まとめとフリーディスカッション(まとめ:渡辺隆裕)
司会:大和毅彦(東京工業大学価値システム専攻)
学際領域におけるオークション研究 配布資料(pdf)スライド
ディスカッションでの意見

18:00-20:00 懇親会(新宿ワシントンホテル)

ディスカッションでの意見

ディスカッション:「学際領域におけるオークション研究を進めるために」では多くの意見が出ました。簡単ですが意見をまとめてみました。

1.学際領域のオークション研究を成功させるにあたって、何か良い方法・知恵はあるだろうか

  • (ゲーム理論・経済学)学際研究は、範囲が広くなればなるほど難しくなることだ。範囲が広くなるほど、分野間の言葉の違いがあり、コミニュケーションがとりにくい。オークションは、このような事が少ないので、学際研究としては良いのではないか。
  • (ゲーム理論・経済学)コーディネーターが必要である。
  • (ゲーム理論・経済学)特定の問題を解くことが、学際研究の成功に繋がるのではないか。
  • (計算機科学)オークションの問題が何であるかということををよく見ないと分からない。
  • (計算機科学)既に専門の固まっている人が入っていくことはなかなか難しいが、若い人がやりたい時の場を研究会などで提供してゆくことが必要ではないか。
  • (計算機科学)具体的なターゲットを明確にすることが成功につながる。
  • (計算機科学)新しいシステムに許容度が高い組織を見つけ、そこで成功につなげることが大切だ。
  • (電力関係)学際研究を自分の分野に行かせるかということについては、論文のイントロに新しいものを引用する、という点などで説得力を持たせられる事に目を向けると良い。
  • (電力関係)違った分野を分かりやすく説明すると言うことが、固有の分野では求められている。
  • (組合せ理論・OR)アメリカではアルゴリズム系の研究者が経済・ビジネスに関する問題を解こうとする気運が高まっているが、日本ではまだない。

2.学際領域のオークション研究を進めるにあたって、何か問題を持つことの必要性は分かった。では、具体的に解かなければ行けない課題はあるだろうか?

  • (電力)電力自由化にあたって、解かなければならないオークションの問題はいろいろある。例えば、例えばキャンセル料の問題など。

アンケート

アンケートでお答えいただいた意見をもとにして、次回の企画を考えたいと思います。

問1)オークションについて、どのような形の研究会が望ましいとお考えですか。

  • 学際的な研究会(ぜひ第2回、第3回を…)
  • もう少し、座って聞いているだけだとしても、学生がたくさん参加できるとよいです。
  • 分野横断的。
  • 自由なテーマで、各々の研究紹介。(十分に刺激になりました)
  • 何か具体的な分野。例えば今回の周波数オークション等は引き出しが多いと思いました。
  • 学際研究のネタは、やはりこのように需要者と供給者が「市場」のように集まる場がないと、その表現をする場がないので、そのネタの存在すら分からないし、何か疑問があるときに誰に聞いたらよいか分からないので、長期に継続する「場」があることが大事だと思う。
  • 今回の形は専門家には十分だと思う。各先生方が学生を連れてくることで、異分野のつながりもつくりやすいのでは?
  • 分野を越えたオークション研究の可能性を探っておられるので、研究者の方ご自身の専門分野以外の方に発信し、批判的かつ発展してゆく方向に向けての意見交換ができる場は貴重と考えられます。
  • 今回のように、複数の学際にまたがる形式が望ましい。さらに企業での利用事例、企業から見たオークションのメリットが聞ける研究会があると嬉しいです。
  • 学際領域の研究ということが成り立つのか。結局すべてを自活的考えていかないと、研究としては成り立ちにくいのではないか。適用分野(特に当事者の一般性のレベル)によって、研究内容も変わってくるのでは。
  • 理論的研究と実例とのキャッチボールのようなもの。
  • すでに起きた事例と理念の比較。
  • 例えば、電力会社が風力発電を募集する場合、価格だけではなく、系統という要素も入る。ここで、果たして合理的な判断ができたのか、など。電力市場におけるドミナントの存在もある。
  • 分野を横断した研究会を希望します。
  • 特にないが、YAHOO!やEbayの方に、「なぜ彼らが採用しているシステムが良いと考えているか」を発表していただければ良いと思った。
  • 実務家も参加する形態
  • 難しいかもしれませんが、実際にオークションサイトを運営している人等を交えて、実際にどういう問題があるかということを議論できれば良いと思う。
  • 現状を考慮すると、今回のようなシンポジウムを継続し、交流を深め、研究会などが発足されることを期待します。 l パネルディスカッションを行ってみてはいかがでしょうか。
  • 今回のような学際をテーマにした内容は、とても勉強になり、良かったと思います。
  • 今回のようなシンポジウムを年一回程度、その他情報交換のためのメーリングリストを準備してはいかがでしょうか。その他、オークションに関する論文データベースを構築するなど、この分野の発展に寄与する方法もあると思います。
  • 初学者向けの一般的なチュートリアル形式の講義があるとありがたいと思いました。
  • 現場・実務の場における現実の問題意識を議論、意見交換し、その問題意識に基づいた実験結果をさらに議論できれば、最良だと思います。
  • 実験があれば、被験者として参加することにも興味があります。
  • ある程度、「問題」を絞った研究会。同じ「問題」について、異なる分野の研究者がそれぞれアプローチを説明し、議論する。 (ゲーム理論・経済学)学際研究は、範囲が広くなればなるほど難しくなることだ。範囲が広くなるほど、分野間の言葉の違いがあり、コミニュケーションがとりにくい。オークションは、このような事が少ないので、学際研究としては良いのではないか。

問2)本日のシンポジウムについての感想を述べてください。良かった点と悪かった点の両方をあげてください。

  • ○様々な異分野の方々から、興味深い論文が聞けて勉強になりました。
  • ×会場が縦に長いので、前の方の頭で、プロジェクターが見えませんでした。
  • ○結構、様々な質問が飛び交ったのではないでしょうか?
  • ×特にありません。
  • ○up to dateな話題を色々なアカデミックな視点からの話がきけた。渡辺先生のAuctionのビデオと解説が良かった。
  • (×?)(問1で述べたように)実務家の話が欲しいが、COEでやるのは難しいでしょうか?
  • 多岐に渡る話を一度に聞くことができて、大変面白かった。
  • 初歩的なレベルから講演していただき、大半は理解しやすかった。ただし、自分の知識が著しく欠いた分野もあり、残念な箇所もあった。
  • オークションに関しては素人なので、全体的に分かりづらい面が多かった。もう少し素人にも分かりやすい説明が欲しかった。
  • ビジネス的な面での応用例などの紹介を増やしてもらえるとうれしい。
  • ○様々な分野の先生方が発表されたところです。興味深く拝聴しました。
  • ×特にありませんが、室温が少し高かったかもしれません。
  • ○多くの側面からオークションに対する研究状況を聞けたこと。
  • ×異分野が合流する場合、各分野の専門用語が明確に伝わりにくいが、その点をもう少し考慮頂ければ良かったと思います。また、参考文献等のリストがない(少ない)ため、少々残念に思います。
  • ○異分野の研究者が一同に介することで、様々な切り口の研究範囲があることが分かった。
  • ×逆に、問題が広くなることで、共同研究のための問題意識の統一をいかにして行うかが難しいと思いました。
  • ○他(理論系)の研究者の問題意識が分かる。ピュアな理論研究も、研究発想の点で勉強になる。
  • ×発表資料に、他の研究者にもわかるように簡潔な解説を加えてもらうと有難い。専門用語等。
  • 多くの分野(アプローチ)でオークション研究がなされていると分かり、有益でした。
  • 研究者と実務者の両方の話が聞けた点が良かった。
  • 多くの分野の方がいるせいか、各スピーカーのおかげか、とても分かりやすかった。
  • 電力関係者も来ていてちょっとびっくり。良かったことですが。今回のようなシンポジウムは非常に有益であり、今後とも継続的な開催をお願いしたいです。研究者以外の方(競り市場の方や、YAHOOオークション、Bidders運営の方)のお話も聞けるとなおよろしいかと思います。
  • 本日のシンポジウムでは。渡辺先生ガイドに従い、会場全体が他分野の研究に対して非常に許容的な雰囲気を保てていたのが素晴らしかったです。特に学生は、偉い先生同士が必要以上に批判的に他分野に接するのを見て、学際的研究を敬遠する傾向にあると思いますので。
  • 質問がフロアから沢山出たのは良かった。出席者リストを配布してもよかったのでは?
  • ここでしか聞かれない貴重な話が聞けました。渡辺先生のゲーム理論の話もうかがってみたいところです。 (各先生方が学生を連れてくることで異分野のつながりも作りやすいのでは?という意見により)懇親会に学割は必要。
  • 「自分の分野以外の研究に関心を持って!」という点では、横尾真氏の報告、菊地浩明氏の報告で、ゲーム理論が他分野でどう使われているのかがよく分かった。池田さんの買うオークション指摘には驚いた。
  • 数式の難しい説明が少なかったこと。
  • かなり盛り沢山な内容だったのですが、自分の関心との切り口をどこに見つければよいのかが、渡辺先生の「まとめとフリーディスカッション」からとらえてゆくことができた。
    悪かった点は会場が細長かったことくらいでした。
  • ○大変勉強になりました。こういう研究会を待っていました。
  • ×横尾さんのGVA発表で、均衡解が複数ある点をしつこく(?)指摘していたのは、本シンポジウムの「歩き方」に反する態度だと思います。(主催者の問題ではないですが)
  • いろいろなお話があって良かったです。他分野の研究が無料で聞けて満足です。
  • オークションの研究に関して初心者だったので、用語(first price、second price、etc)が分からなくて、少し困りました。(聞いているうちに分かりました)

開催に関して

本シンポジウムは、東京都立大学21世紀COEプログラム「金融制度のミクロ構造と制度設計」の一環として行われました。

開催にあたっては、東京工業大学価値システム専攻の大和毅彦先生に、企画・運営に多大な協力をいただきました。ありがとうございました。