3.ギャンブルに必勝法はあるか1

必勝法とは何だろう

このホームページには必勝法を求めて来る方も多いと思いますが、残念ながら、このような方には、このサイトはあまり役には立たないでしょう。

「なーんだ」とサイトを離れる前に、ここではそもそもギャンブルに必勝法が在り得るかについて考えてみましょう。これは、このサイトの情報を理解するための多くの概念に触れる良い機会になります。

まず、エッセイ1とエッセイ2で述べた勝つチャンスにおける「運」や「偶然」に対する「技術」の比率によって、考える問題が異なってきます。

まず、理論的には完全に「運」に左右されない将棋・囲碁・チェス・オセロについて考えてみます。これはギャンブルというよりはむしろ、このような「ゲーム」に必勝法が存在するかどうかの問題と考えられます。このようなゲーム(ゲーム理論の用語で言えば、有限完全情報ゲーム)は、理論的には先手が勝つか後手が勝つか引き分けるか、どれかの必勝法が存在します。しかし、現実には、すべての場合の数を尽くすことが難しく、現代のどんなコンピュータを使っても、それを計算することができません。(実は「オセロ」以外は微妙な問題を含みます。)

しかし、普通の人がギャンブルの必勝法と言うときは、このような運に依存しない技量によって決まる「ゲーム」を指すことは少なく、何がしかの「運」に依存するもの−麻雀・パチンコ・競馬・ポーカー・ルーレット−を指すことが多いです。では次に完全に技量によって勝敗が決まらない、このようなものギャンブルに必勝法はあるのでしょうか。

このホームページではこのことを徐々に考えてゆくことになります。多くの議論を必要とするため、すぐにここで答えを与えることはできません。しかし、皆さんに考えていただきたいのは「もし必勝法があるとして、ギャンブルの参加者全員がそれを知って実行したときにどうなるか」ということです。

公表されるような(理論化されるような)必勝法はない

例えば、競馬でほぼ確実に勝ち馬を推測する方法があったとしましょう。もし全員がその方法を知って勝ち馬を予測すれば、オッズ(賭けの倍率)は1倍まで下がってしまいます。もちろん、競馬を当てるという意味ではこうなっても「必勝法」かもしれませんが、儲かると言う意味では、もはや「必勝法」ではありません。麻雀も、もし必勝法があるとしたならば、全員がそれを実行したならば、配牌の違いだけに依存するために、全員の期待値は同じとなるはずで、「必勝法」ではなくなります。

注目したいのは、Edward Thorpと呼ばれる、有名な数学者の例です。彼は数学者であり、現代で言う金融工学の研究者であり、なおかつギャンブルの天才でした。彼は、ブラックジャックに勝つ方法として「カウンティング」という方法を研究し、遂に必勝法(期待値が正になる賭け方)を探し出しました。が、カジノ側はこれに対抗してブラックジャックのルールを変更してしまったそうです。(谷岡一郎「ツキの法則」から引用。e.Thorpのカウンティング法についてはE.Thorp自身の著書「Beat The Dealer」を参考にして下さい。)

  言いたいことは、ギャンブルの必勝法は、その人一人が知っているときは必勝法となりえるが、その方法が公の場で公表されれば、それは「必勝法」ではなくなるだろう、ということです。その理由から、このようなインターネットサイトで公開されたり、本で出版されたり、「科学」の名のもとに公表され検証されたりするようなギャンブルの必勝法はないということです。私の母は、よく「ギャンブルに必勝法はないよ。そんないい方法があったら、人に言わないで、自分でこっそり実行しているよ。」と言っていました。この言葉はギャンブルの必勝法をよく表しています。

  では公の場で公表されない必勝法というのは、どうでしょうか。これについては、いずれ考察しますが、注意すべきことは、このような事を語って、人を騙したり詐欺に陥ったりする例は後を絶たないということです。皆さんもくれぐれもご注意を。