4.主催者・胴元は賭けをするか?(賭けの分類2)
主催者の収入も運で左右される−カジノ・ブックメーカー
「賭け」にはたいてい主催者がいます。仲間うちで賭け麻雀(法律で禁止されてます)をするときはいませんが。賭けを「博打」と呼ぶときは、主催者を「胴元」などと呼んだりします。カジノの主催者はオーナーで、日本の中央競馬ではJRAです。もっともJRAは執行機関であり、本当の主催者は国であるともいえます。宝くじの場合には、みずほ銀行を主催者と考えるよりは、自治体などを主催者と考えたほうが良いでしょう。多くの場合、法律で公認のギャンブルは公営で、ギャンブルの主催者は公的機関であったりします。
主催者の収入が運に依存するかどうか、言い換えると主催者自身がギャンブルをするかどうかは賭けを分類する重要な要因です。多くのギャンブルの主催者が公的機関であることを考えると、公的な収入が運に左右されるかどうかに対応するので、これは経済学的にも政策的にも重要な問題です。
カジノにおける多くのギャンブルでは、主催者も賭けをします。例としてルーレットを考えてみましょう。アメリカンルーレットの場合、数字の数は0と00を含めて38個で、1つの数字に賭けて当たった場合の払い戻し倍率は36倍です。仮に全員が(「赤」[黒」とか「奇数」「偶数」のような賭け方ではなく)1つの数字に賭けるような賭け方をすれば、主催者の期待収入は
賭けられた金額×(38分の2)
となります。しかし、これはあくまでも期待値で、確実な収入ではありません。たまたま、参加者がルーレットの数字を次々に当てた場合は、主催者収入はマイナスになります。主催者の収入が、参加者と同様にルーレットの目に左右される点では、主催者も賭けをしていると考えられるでしょう。
主催者の収入が運に依存しない「パリマチュアルシステム」
これに対し宝くじや日本の競馬のような賭けは、パリマチュアル(parimutuel)方式と呼ばれ、賭けられたお金から一定の額を控除した後、勝者にお金を配分するという方法です。このような方式では主催者は賭けはしません。例として、日本の競馬を考えてみましょう。日本の中央競馬では、賭けられたお金の(約)25%を主催者が控除した後、その金額を勝者に配分することになっています。主催者の収入は
賭けられた金額×25%
となります。ルーレットと異なる点は、これは確実な収入であり、本命が来ようが、穴馬が来ようが、どの馬が1着になったかには関係なく、主催者の収入は賭けられたお金にのみ依存します。ルーレットでは、主催者の収入が出た目に依存するのとは対照的に、この場合は主催者は賭けはしていません。
ーレットの38分の2も、日本の競馬の25%も、主催者の控除率と呼ばれるものですが、その内容は、このように少し異なります。
主催者が賭けをする方式でも、回数が多くなれば確率論の「大数の法則」に従って、収入は期待金額に近づくことが予想されます。したがって、この場合は賭けの回数が多くなることが主催者の収入を安定させるためには大切です。ルーレットにおいて、賭けられるお金の総額が1億円のときに、1億円が1回かけられるのと、100円が1万回賭けられるのでは、後者のほうが主催者には好ましく(リスクが少なく)なります。日本の競馬のようにパリマチュアルシステムでは、この2つに差はありません。
なお、日本の競馬と異なり、イギリスの競馬はブックメーカー方式と呼ばれ、主催者が賭けをする形になっています。
