8.ギャンブル分析の中心概念1−大数の法則

平均値は理論的な期待値に近づく

賭けを分析する上で、まず重要な概念は何と言っても確率論における「大数の法則」でしょう。これは、賭けの回数を多くするに従って、様々な平均値はその理論的期待値に近づいてゆくという定理です。

例えば、エッセイ5.ナンバーズの番号を予測するでお話したことが、これに相当すると考えられます。再度、この大数の法則と言う文脈で説明してみましょう。ナンバーズ3のストレート(3桁の数字を正確に当てる)くじにおいて、第1回からの当選番号を順番に並べてゆくとしましょう。
        191、981、194、105、592、792、708・・・
このとき、すべての数字が出る頻度は回数を重ねるにつれ、10分の1(10%)に近づいてゆく、というのが大数の法則が言っていることです。

実際に、この「回数が多くなる」というのが、どのくらいなのかが問題です。賭けの種類と、問題にしている「期待値」によって、この回数はかなり大きくならなければなりません。改めてエッセイ5の内容を復習してみましょう。

ナンバーズ20回目までに出る数字の個数は60個です。この60個の数字の中で、「6」が出ているのはたったの1回!1.7%に過ぎないのです。「60」と言う数字の個数(ナンバーズ20回)は大数の法則が働き、すべての数字の出る頻度が10%に近づくと言うには、不十分な回数であることが分かります。

20回目までは、0から9までの数字の出現頻度が1.7%から18.3%と幅があるのに対し、600回目(数字としては1800個)になると9.1%から11.4%と、10%の周りにかなり近づいて来ることが分かります。この600回を十分と考えるか、不十分と考えるかは議論の分かれるところです。考えている問題に依存するでしょう。

このように、ギャンブルの回数を多くすれば、様々な値は理論値に近づいてくるでしょう。逆に言うと、回数が少ないうちは、理論値から離れる可能性も高くなります。回数が少ない時は、大負けしている場合もあれば、大勝ちしている場合もあるわけです(標本平均の分散が大きい)。

このように大数の法則は、ギャンブルを分析する上で重要な概念となります。このような事は、既に確率理論が発展した1960年代辺りには明らかになっていたと言えるでしょう。いわゆるギャンブル分析の「古典」とも言えるお話です。しかし、このような確率理論だけでは、十分に賭けを分析できないのは、既にエッセイ7でお話しました。次は、このことについて考えてみましょう。