わたなべじゃんけん

多人数の「じゃんけん」で1人の勝者を選ぶには、最後の1人が決まるまで何回もじゃんけんをしなければなりません。

「わたなべじゃんけん」は、1回のじゃんけんで、1人の勝者を1発で決めることができる画期的なじゃんけんです。

わたなべじゃんけんのやりかた

やりかたはとても簡単です!

1.参加者に1から順番に番号を振っていきます(誰かを1番とし、右回りに振ると良いでしょう)。

順番 図は4人の例です。

 

2.「わたなべじゃんけん、ジャンケンポン!」の掛け声で、各参加者は1から人数までの好きな数を指で出します。
(ゼロ、すなわちじゃんけんの「グー」はダメです。)

じゃんけんぽん

 

3.全員の指の数を合計し、人数で割った余りを計算します。最初に振った番号と余りが一致した人が勝ちです。
(余りが0の場合は、一番大きい数(=人数)の人が勝ちです)。

結果 余りが3なので、3番の勝ち。

(余りが0なら4番のパパの勝ちです。)

 

ビデオを見ると感じがつかめます→ビデオ

わたなべじゃんけんの特長

わたなべじゃんけんには以下の特徴があります。

  • 1人の勝者が1回で決まる
  • 子供にも大人にも公平−どの数字を出しても、どの参加者も勝つ確率が等しくなる
     (正確には「すべての指を出す確率が等しいことがナッシュ均衡」で、なおかつ「ナッシュ均衡で参加者が勝つ確率が等しい)
  • 楽しい

1人の勝者が1回で決まる

多人数でじゃんけんをすると、なかなか勝者が決まらないということはありませんか?以下の表は10人でジャンケンをしたときに1回の勝者が決まるまでに平均して何回かかるかをシミュレーションしたものです。

じゃんけんで勝者が決まるまでの平均回数

人数

平均回数

2

1.5

3

2.1

4

3.0

5

4.3

6

6.0

7

8.4

8

11.9

9

16.9

10

24.1

   

渡辺(2008) モンテカルロシミュレーションによる結果

この結果によると、10人でジャンケンをすると1人の勝者が決まるまでに平均で24回かかります。24回もじゃんけんをやるのは大変で、9人や10人のときにわたなべじゃんけんは効果を表します。

6人だと、普通のジャンケンは平均6回で勝者を選び出します。しかし「6回程度のジャンケンなら...」と甘く考えてはいけません! シミュレーション結果では、ジャンケンを13回以上もやらなければならない事が10%程度の確率で起こりえることがわかりました。しかも1%の確率で20回を超えることもあります。

わたなべじゃんけんなら、どんなときも一発で勝者を決めることができます。

わたなべじゃんけんが公平な理由(1)

例えば3人のときを考えてみましょう。例えばAさん、Bさん、Cさんの3人でワタナベジャンケンをするときに、起こりうる組合せを考えてみましょう。
ここで最初に決める番号はAさんが1、Bさんが2、Cさんが3としておきます。

3人が出す指の数のすべての組合せを考えるにはどうすれば良いでしょうか。これは、Aさん、Bさん、Cさんの順に出す指を1-1-1,1-1-2,1-1-3,1-2-1,1-2-2,1-2-3,1-3-1,1-3-2,1-3-3…と辞書的に並べて数えていけば良さそうですね。組合せは27通りあります。

まずAさん、Bさんが1を出したときを考えます(1−1−*)。このとき

  • Cさんが1を出せば(合計は3で、3で割って余りは0なので)Cさんの勝ち
  • Cさんが2を出せば(合計は4で、3で割って余りは1なので)Bさんの勝ち
  • Cさんが3を出せば(合計は5で、3で割って余りは2なので)Bさんの勝ちです。

つまりこの場合、Aさん・Bさん・Cさんが勝つ組合せは1通りずつになることがわかります。

次にAさんが1、Bさんが2を出したときを考えます(1−2−*)。このときCさんが1を出せば(合計は4で、3で割って余りは1なので)Aさんの勝ち、2を出せばBさんの勝ち、3を出せCさんの勝ちです。この場合もAさん・Bさん・Cさんの勝つ組合せは1通りずつです。

これでもうお分かりと思いますが、AさんとBさんが何を出しても、Cさんのすべての指の出し方(3通り)に対して、Aさん・Bさん・Cさんが勝つ組合せは1通りずつです。AさんとBさんのすべての指の出し方について、これが成り立つので、AさんとBさんとCさんが勝つ組合せは同じであることが分かります。以下のような表にしてみると分かるでしょう。

1−1−1  C

1−1−2  A

1−1−3  B

1−2−1  A

1−2−2  B

1−2−3  C

1−3−1  B

1−3−2  C

1−3−3  A

2−1−1  A

2−1−2  B

2−1−3  C



指の組合せと勝者

このことは3人だけではなく、何人であっても成り立つことが分かるでしょう。わたなべじゃんけんは、すべての人のすべての指の組合せで、各参加者が勝つ組合せは等しくなることが分かります。

わたなべじゃんけんが公平な理由(2)

すべての指の組合せに対して、各参加者が勝つ組合せの数が等しければ、じゃんけんは公平なのでしょうか?すべての人が、等確率で指を出せばこれは正しい命題です。すべての人が勝つ確率は等しいわけですから。しかしこれは、ゲーム理論の観点から言えば誤りです。

これを明確にするために、Aさん、Bさん、Cさんの3人のじゃんけんで、AさんとBさんは1か2を出し、Cさんだけが1か2か3を出せるじゃんけんを考えてみましょう。このときすべての指の組合せは12通り、勝者は以下のような表で決まります。

1−1−1  C

1−1−2  A

1−1−3  B

1−2−1  A

1−2−2  B

1−2−3  C

2−1−1  A

2−1−2  B

2−1−3  C

2−2−1  B

2−2−2  C

2−2−3  A

このときすべての指の組合せにおいて、AさんとBさんとCさんが勝つ組合せはそれぞれ4通り。もしAさんとBさんとCさんが同じ確率で指を出すなら、すべての人に公平なじゃんけんに見えます。しかしこれは明らかにおかしいです。なぜでしょう。

Cさんは、自分が1を出したときに自分が勝つ組合せは1通り(1−1−1)、2を出しても自分が勝つ組合せは1通り(2−2−2)ですが、3を出したときに自分が勝つ組合せは2通りあります(1−2−3、2−1−3)。従って、もしAさんとBさんが1と2の指を等確率で出してくるならば、Cさんはもはや1と2と3の指を等確率では出さず、3の指を出した方が勝つ確率が高くなります。(ゲーム理論的には「等確率ですべての指を出すことはナッシュ均衡ではない」)

わたなべじゃんけんは、すべての指を等確率で出すことがナッシュ均衡になっており、そのナッシュ均衡ですべての人が勝つ確率は等しくなる公平なじゃんけんです。