橋爪大三郎先生もほぼ共著という感じで、鷲田氏と橋爪氏の、 このテーマに関する論文および対談が本書の中心で、ほかにも 「大学は変わりません」という立場の匿名の(執筆当時)大学 院生や日本語学校教師の論文、「女性の職業には大学教授が最 適」なる立場の女性の大学教員のインタビュー(これはなぜ載 せたのか多少疑問に思うような内容)が掲載されている。 橋爪氏、鷲田氏の主張の主な点(手元に本書がないので、今 一番印象に残っている点)は、現在の大学は大学設立当初のよ うなエリート教育の場ではなく、「大衆化」してしまったこと の自覚をもつことと、大学を「自由化」することの2点である。 「大衆化」の自覚をもつこととは、ほとんどの大学を専門教 育の場というよりは、むしろ教養を身につける場として考える ことであり、「自由化」の意味とは、現在の大学が定員(教員 も学生も)や予算などの規制に縛られ、教育についても研究に ついても競争がなくなっているため、それらをなくし、自由競 争を取り入れてはどうかとのことである。教育の供給者の競争 という点では、むしろ塾のほうが、レベルの高い(良い教育、 需要者の望む教育をしてくれる)塾が生き残り、そうではない 塾が存続できないので、望ましい、とまで言っている。これら の議論では、大学の教育の機能と研究の機能とは、もちろん分 けて考えている。 大学が変われば、そのほかの制度も変わるのか、それとも、 そのほかの制度とともに大学が変わるのかは、わからないが、 この様な本を手にするのは大抵自覚症状のある人で、本来読ん でほしい人には、なかなか伝わらないようにも思うのである。 |